地上の空論

    地上ではあらゆる手段を講じ人間が人間を支配する。
    ある者を天皇と呼び、ある者を首相と呼び、ある者を議員と言い、ある者を役人と言い、ある者を上司と言い、ある者を部下と言い、ある者を派遣と言い、ある者を無職と言い、ある者を死人と言う。
    地上では相も変わらぬ20世紀的発想が続く。
    21世紀初頭に地上に現れたAI人間たちもお得意の地上の空論を繰返す。


    エピソード1
    ふと立ち寄った小さな喫茶店での出来事。
    客はカウンターに5歳くらいのガキ連れの団地妻。
    常連客のようで60過ぎの女店主と団地トークに花を咲かせる。
    聖は入り口付近のボックス席に座る。
    「灰皿ください」
    すると女店主は常連客と顔を見合わせた。
    「子どもがいるんで」
    女主人が言った。
    わかばを取り出し火をつけるだけの態勢の聖は度肝を抜かれた。
    「えっ?」
    「すみませんが、子どもがいるんで」
    「なに?」
    すると空気を読むことに長けたガキが素っ頓狂に言う。
    「まあ、いいよ!」
    女主人は満面の笑みで灰皿を持ちボックス席にやってきた。
    「子どもの許可がおりましたので!」
    聖は呆れ顔のまま煙草片手にカウンターまで行く。
    「許可してくれてありがとよ」
    わかばの煙を子どもの顔に何度も吹きかけ店を出た。


    iPhone片手にアイコス吸うAI人間。
    WHOは地上人の健康を肉体だけでなく精神にまで押し着せる。
    だから、WHOの後ろ盾があるアイコスAI人間は、iPhone片手に澄まし顔。
    頭が空っぽだから、何か疑問が湧いたら、サッとwikipediaを開く。
    眺めて、したり顔。
    空っぽだから、澄まし顔。
    アイコスAI人間は、視線恐怖の為に、目を伏せるように、iPhone片手に、どうでもいい地上の空論を眺めている。
    アイコスAI人間は、煙草をニコチン接種法だと勘違いしている哀れなニコチンジャンキーだ。
    ヨガでもどんな呼吸法でも吸うより吐く方が大事だ。
    煙草は、単にニコチンを吸っているのではない。
    むしろ煙を吐くところにこそ意義がある。
    もはやこんな単純なことまでわからなくなったのか。
    精霊と交信をやめた地上人の成れの果てだ。


    AI時代のAho人間へ

    AIがどうたらこうたら。

    語る奴って。

    血も涙もない。

    効率主義の。

    Aho人間。

    バカではないが。

    利巧でもない。

    全部ただ情報インプット。

    何ひとつ。

    発明しない。

    新しいことしない。

    あほ。

    間違わないのが。

    楽しいか。

    うそつけ。

    おまえ。

    目が死んでる。

    貯金が楽しいか。

    うそつけ。

    パっーと使った方が。

    一億倍も楽しいぞ!

    そんなことも。

    わからないか。

    あほ。

    人の失敗を。

    鼻で笑うな。

    アホ。

    おまえ。

    何にもしていない。

    あほ。

    おまえ。

    失敗しないだけの。

    深みのない。

    上っ面だけの。

    アホ。

    ほら。

    一回くらい。

    壊れてみろよ。

    あほ。

    そうか。

    誰かに。

    プログラムされないと。

    何にもできないか。

    情けないね。

    AI人間は。

    否、Aho人間は。

    他者につべこべ言う前に。

    ただただ。

    己に恥じいれ。


    人間ならば。

    泣きわめけ!






    庶民宣言

    大衆というと何かマクロな視点、俯瞰的な偉そうな印象があるだろう。
    それは私が思うものと違う。
    小説ならばともかく思想においては誤解を与えるような言い回しはアウトだ。
    私がなりたいもの。
    それは当たり前の人間だ。
    地に足をつけた真っ当な人間だ。
    目に見えるものだけを信じる小さな庶民だ。
    世界中からのニュース、日本全国のニュースなど、本当に関係ないことなのだ。
    テレビやネットなど、もうあいつらを相手にするのはやめよう。
    ただ一言、こう言ってやる。
    「勝手にやってろ、アホンダラ」
    と。













    本物の大衆

    誰かがどっかの国の大統領になったそうな。
    どっかの爺さんが車で暴走するそうな。
    見知らぬ芸能人がチョメチョメしたそうな。
    ……どこかで誰かが死んだそうな。
    ああ、しかし、それは、本当にどうでもいいことだよ。
    僕は、ただ、僕の人生が気になるだけさ。
    一切合財、関係ないのさ。
    本物の大衆ってそんなもんじゃないよ。
    まったくお目出度い時代さ。
    僕は、ただ、本物の大衆になりたいだけさ。
    自分の事だけ考えて、周りの人をちゃんと見つめて、当たり前の人生を全うしたいだけさ。
    本物の大衆、僕が目指しているのは、それだけさ。



    幸福実現党の演説を見て

    商店街の出口に幸福実現党の演説カーが止めてあった。
    地元の候補者と並んで、党首の釈量子さんの垂れ幕もある。
    党首はかなりの美人であるとのこと。
    だがどう見ても地元候補者の女性一人しか登壇していない。
    美人はいないようなので通り過ぎようとした。
    すると横から可愛らしい女性が近づいてきた。
    「よろしくお願いします」
    幸福実現党のビラを差し出した。
    どこか総裁先生の再婚相手であり坂本竜馬の生まれ変わりでもある大川紫央さんに似ている、おっとり系の美人だ。
    党首もそうだが美人を活用することに長けていると感心した。
    これがおっさんおばさんなら立ち止まらなかっただろう。
    総裁先生のこういう俗っぽい戦略は好感が持てる。
    「党首の方、来ますか?」
    「ええ、もうすぐ来ます」
    「釈さん美人ですよね。いや、あなたには負けるかな」
    私がそう言うと、ビラ配りの女性はウブな女学生のように照れ笑いした。
    総裁先生には若くてカワイイ女性を惹きつける何かがあるのだろう。
    多分、あのイタコ芸が面白いからだ。
    あそこまで馬鹿げたことができる人は早々いない。
    総裁先生は希代のエンターテイナーである。
    表現者としてつくづく感心する。

    しばらくして、再び、現場に戻ってみた。
    幸福実現党の党首であり伊藤博文の生まれ変わりでもある釈量子さんが、ちょうど演説している最中だった。
    やはり噂どおりの美人であったが、悲しいかな、党首として全国各地を飛び回り応援演説している為だろう、声が枯れており、まるでオカマみたいな声になっていた。
    少々ゲンナリした。
    やはり美人は、どんなに演説をしても、綺麗な顔、綺麗な声でいるべきだ。
    そういう戦略でいくべきだ。
    そうでなければ他と変わらない。
    せっかくの美人党首が台無しである。
    そうまでして政策のことなど訴えなくとも良いのだ。
    国民は幸福実現党にそんなことを求めていない。
    癒しであり、笑いだ。
    国民のその要求に応えることにより得票に結びつくのだ。
    誰からも求められていないことをし、ただ選挙とはこういうものだろうという貧弱な発想で他を真似ているようではダメだ。
    なぜ、自分が党首になったのか、それを考えたら自ずとやるべき答えは出るはずだ。
    このへんがどうにも総裁先生のコンセプトを遂行できていないところであり、票が伸び悩む要因であろう、と思う。
    演説カーの前方には多分サクラなのだろう、行儀よく数十人の人々が整列して、演説に聞き入っている。
    彼らは、演説の要所要所で拍手をするのだが、あまりにも揃いすぎていてサクラ感を出しすぎなのである。
    演出家は何をやっているのだろう。
    総裁先生がこういう適当な演出を許すはずがない。
    大体のところ、そもそも信者なんてのは、何もせずとも投票してくれるのだろ?
    その人たちを前列にしてどうする。
    演説など聞かせなくとも良いではないか。
    そうではなく、一般の人にむかって話し、票を入れてもらわないといけないのではないか。
    どうせ信者の票だけでは足りないのだから、これからはサクラを排し、ぽつぽつでもいいじゃないか、美人党首と可愛くて優しいビラ配りの女性がいれば、少しは人は集まるのだ。
    こんなことでは、いつまでたっても国会議員など生まれないぞ。
    自らの美貌と幸福実現党らしい独自戦略に自信を持って頑張ってもらいたい。

    さて、今回、幸福実現党は一議席でも獲得するのだろうか。
    いつになったら総裁先生の喜んだ顔が見られるのだろう。
    もし万が一、一議席でも獲得できたら、いっそのこと一議席獲得祝賀パレードくらいやってもいい。
    それは少々大げさすぎるかもしれないが、チャップリン以来の世界的芸人・総裁先生のことだ。
    その時のイタコ芸はきっと面白いものになるに違いない。
    それだけが楽しみである。






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