魂について

    看護士がムリヤリ母の足を動かそうとしたよ。
    母は「痛い、やめて」と呻いたんだ。
    それでも看護士は「足が動くか確認したいから」と力を入れて母の足を動かそうとし続けていたよ。
    次の瞬間、母は、看護士の顔を蹴飛ばしたね。
    だから、私は、呆然としている看護士に、微笑みながら「足、動いたね」と声をかけてやったよ。
    看護士は、鬼みたいな表情をして私を睨み付けて、部屋を出ていったよ。
    看護士に限らず医師も誰も、ともすれば現代人のほとんどが、人間について一番大切なことをわかっていないようだね。
    教科書にも医学書にも魂についての記述がないからかな?
    私はベッドの脇にしゃがみこんだよ。
    安堵の表情を浮かべる母を、しげしげと見つめたよ。
    もはや社会生活も社会性も必要なくなった時、人間を人間とたらしめるのは、魂だけだ。
    「まだ魂が宿っていたから安心したよ」
    「当たり前よ」
    それにしても病院って人間を何だと思っているんだろうね。
    魂、手放したら、人間、終わりなのにね。
    みんな、魂について、全く考慮していないんだからね。

    カテゴリ
    月別アーカイブ

    Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ