マイペース・マイワールド

    金持ち喧嘩せず

    オリジナルカクテルを貴方へ

    約1ヶ月ぶりに行きつけのショットバーへ行った。
    カウンター席しかない一人で飲みに行くのに適した店だ。
    平日の早めの時間帯であったため客はいなかった。
    「そろそろ来る頃かなと思っていました」
    「色々あってね」
    「ブログ読んでました。大変でしたね」
    「ああ」
    私は、胸ポケットから、わかばを取り出し、火をつけた。
    「アメリカの禁酒法時代を思い出しました。何だか感慨深く拝読しました」
    「アル・カポネの時代か。どういう意味だい?」
    「禁酒法時代、取締りを逃れるために、多くのカクテルが誕生しました」
    そう言って、マスターは、珈琲を差し出した。
    私は、珈琲を、一口飲んだ。
    「ウイスキーが入ってるね」
    「ええ、見た目はコーヒーそのまんまです。次、来たら、まずはじめにお出ししようと決めてました。あからさまに禁酒法に反対して往来で酒をそのままあおる人もいましたし、法を守って全く飲まない人もいました。でも、カクテルは、こういう風に、見た目は違う飲み物のようにしておいて、飲めばわかる、という方法で、酒を提供し、生き延び、かつ、新しい作品をたくさん世に出しました」
    「ぶんがくの世界も似たようなもんだよ。小林多喜二のような人もいたし転向した者も数多くいた。戦時中の太宰治の御伽草子などはカクテルかもね。皮肉なことだが、取り締まりによって、新たな道が開けることもあるんだね」
    それから、私は、禁酒法時代に発明されたと言われている、様々なカクテルを堪能した。
    「ごちそうさま。今日はありがとう」
    「いいえ、こちらこそ。森井さんをバーテンダーに喩えるなら、独特な雰囲気の、知る人ぞ知る、熱い魂溢れる、知識、知恵、経験、全てに卓越した、優れたバーテンダーです。これからも、数多くのオリジナルカクテルのような作品楽しみにしています」
    「ああ、お互い、この時代を生き抜こう。そうして、いつまでも飲み継がれる、最高のオリジナルカクテルを作ろう」
    私は、ほろ酔い気分で、店を出た。





    Posted by 椰子金 on  | 0 comments  0 trackback

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