停電の夜はキャンドルナイト

    昼過ぎ玄関ドアを激しく叩く音がした。
    宗教やセールスにしては強引すぎる。
    借金取りか。
    放置しておいた。
    それからすぐ停電になった。
    つい先日ケーブル火災で都内が停電したというNEWSを見たばかりだった。
    東電だけでなく九電もか。
    ホント殿様商売だな、しっかりしろ。
    腹が立った。
    その後、カランと音が鳴った。
    どうやらポストに何かが投げ込まれたようだ。
    何事かと見に行った。
    九電からの通知書だった。
    「再三の請求にも関わらず、料金の支払いがない為、不本意ながら電気の供給を停止します」
    ケーブル火災ではなく、料金滞納だったようだ。
    しかし、言うに事欠いて、何が不本意ながらだ。
    おまえの意志だろ。
    正直にいえ。
    払わないから嫌がらせしたのだろ。
    払わないくせに態度がでかいから腹が立ったのだろ。
    まあいい、所詮、猿の群れだ。
    私はこの日の為にダイソーで12個入りのキャンドルを買っていたのだ。
    その1つを取り出した。
    これから数日間、夜はロウソクの灯りですごす。
    まるで何かの儀式のようだ。
    何か呪文を考えようか。
    電気の一切通っていない部屋は静寂そのものだ。
    煙草をつけるライターの火さえ眩しく感じる。
    ロウソクの火を見ていると、色々なことを思い出す。
    マッチ売りの少女の、あの火だ。
    前世とまではいかないが、何やら幼少時代が漠然と浮かんでくる。
    たまにはこういう日がなくてはいけない。
    私は、久しぶりに、幸福感に満たされた。

    キャンドルナイト



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