2人だけの送別会2

    居酒屋の前で待ち合わせしていたが、気後れが行動を遅らせたのだろう、約束の時間に間に合わず、後輩から電話がきた。
    「予約入れてないですよね?満席だとのことですが」
    「ああ、そうか」
    ここまでは想定内だった。
    「もう少しで着くから、その近くのセブンイレブンあるだろ?そこでちょっと待ってて」
    それから私は足早にコンビニへ向かった。
    後輩のOは煙草を吸いながら外の灰皿のところに立っていた。
    「そうか、居酒屋満席だったか。そうだよな、土曜日だしな」
    「ええ、どうしましょう」
    私は用意していた言葉を放った。
    「もうあれだな、コンビニで酒買って、公園で飲むか」
    そう、これなら、千円くらいで何とかなる、と思い、ついさっき計画を立てたのだった。
    「公園ですか、夏ならともかく、今は寒くないですか」
    確かに昼ならともかく夜は寒い。
    だが、金がない。
    「それほどでもない。開放感あるし。飲んでたら寒さも吹っ飛ぶ」
    私は、必死に、食い下がった。
    「もしかして、あれですか、金がないとか?」
    Oは、必死に食い下がる私を哀れな目で見つめ、そう言った。
    こうして私は一瞬にして決断を迫られた。
    正直に言うか、あくまで痩せ我慢し、寒さに震えながらでも公園での送別会を決行するか。
    「いや、実は、この日の為に稼ごうと思ってパチンコ行ったら負けて、千円くらいしかなくなった……」
    正直に告白し、わかばに火をつけた。
    きっとがっかりさせたことだろう。
    情けない先輩である。
    それにもまして、ただでさえ基地問題があるのに、これでは更に内地の人間の印象が悪くなってしまうかもしれない。
    だがそれも全ては私の不徳のいたすところだ。
    どのような反応であっても、受け入れるしかない。
    「やっぱりですか。なんかおかしいと思いましたよ。いいです。今日は僕が奢りますよ」
    「いや、それは……最後だし、ここは年配者である私が……」
    「実は、僕、パチンコ勝ったんですよ。前に森井さんが言ってたじゃないですか。ギャンブルてのは勝つ時も負ける時もあるから、その時は勝った奴が奢ればいいんだって。それに今まで世話になりましたし。最後くらい奢らせてください」
    「そっか……いいか?」
    「もちろんです」
    「結構勝ったか?」
    「ええ、5万勝ちました」
    「おー!5万もあれば結構飲めるやんか!」
    「ええ、今日は安心してください。どこ行きますか?」
    「だったら、まずは焼き鳥屋行こうぜ。いつもイイ匂いがしてて気になってた店があるんだよ」
    「焼き鳥かあ、なんか日本っぽくて、いいっすね」
    「よし、そうと決まれば、今日はパァーといこうぜ!」
    「はい!」
    そうして、意気揚々と、焼き鳥屋への道を跳ねるように歩いていったのだった。


    つづく。


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