森井聖大ファンクラブ通信

    マイペース・マイワールド

    文学フリマ外伝ー大門のBAR〈聖者〉ー

    文学フリマの会場が蒲田から流通センターに変わって一つだけ良かったことがある。
    ちょうど一年前、流通センターまでの最善な交通手段がモノレールである為、流通センターに変わった一発目の会で、浜松町駅付近のホテルをとったことに由来する。

    夜、BARを探して歩き回っていたら、見つけたのが、大門のBAR〈聖者〉だった。

    世の中に隠れ家的なBARはいくつもあるだろうが、この〈聖者〉は隠れ家的というより、本当の隠れ家だ。
    路地裏のビルの二階の、マンションの一室を改装して、カウンターだけの小さなBARになっている。
    浜松町、大門というのは、かなり歩き回ったが、案外ショットバーがなく、諦めていた時に、偶然小さい手書きの看板でショットバーと書いてある、この店を見つけた。
    見つけはしたが、マンションのドアに〈聖者〉と書かれた布が掛けられているだけで、店内は見えないし、BARなのか何なのかすらよくわからない。
    怪しい雰囲気を醸し出している。
    他にないものかと、大門の通りを二、三度往復して、やはり見当たらないので、再び戻って来て、覚悟を決めて、ドアを開けてみた。
    それが、ちょうど一年前だ。
    店内は暗く、落ち着いた木のカウンターがあり、壁面に良質かつ珍しい洋酒がずらりと並べられていた。
    カウンターの中には三十代半ばの少し髭をたくわえたマスターがベストを着て立っている。
    雰囲気がよかったので安心した。
    客は男女のペアが一名ずついたが、騒ぐわけでもなく、穏やかに飲んでいる。
    しかし、まだ、どこか不安ではあった。
    良いバーテンダーなのか、どんな酒を飲ませてくれるのか、まだ何もわからない。
    僕は、怪しい店に入った、怪しい客人という風で、カウンターが8席ほどの一番奥に座った。
    まだお互いどこの誰ともわからないままだ。
    僕は一発目に頼む酒を考えていた。
    多分、マスターも、僕が一番はじめに何を頼むのかを柔和な笑みのむこうで、何気に考えているはずだ。
    僕が何を頼み、マスターがどう作るか、それで僕と店の相性、ほぼ全てが決まる。

    と、こんなことを書いたら、ますます敷居が高くなるから、マスターは「おいおい」と思うかもしれない。
    結論を先にいうと、そんなこんなは、僕だけの思いであり、マスターは気さくで良い人だ。
    そうして素晴らしいバーテンダーだ。
    色々と勉強になるし、色々と教えてくれる。
    僕は一年前に訪ね、また今回も訪れて、極上の良い時間を過ごさせてもらった。
    全くの偶然だが、ちょうど前回行った時が1周年の時で、今回は二周年だった。

    良いBARとは、酒だけでなく、店の雰囲気そのもので、客を酔わせる。
    〈聖者〉は、そんな手本のようなBARだ。

    東京に行った時は、毎回寄りたい店の一つだ。
    でも今度行く時は、もう少し僕も本業の作家で稼げるようになってからにしたい。
    そうして周年記念の酒を1ショットいくらかを気にせずに飲みたいものである。


    地図



    Posted by 椰子金次郎 on  | 0 comments  1 trackback

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    2012.11.26 02:05
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