マイペース・マイワールド

    金持ち喧嘩せず

    老人ホームの母に

    昨日、老人ホームに、母の面会に行った。
    完全に寝たきりだが、もう少しこっちの世界にいてくれそうで、安心した。
    1時間ばかりいた。
    話すことは、ほとんど親戚の話だ。
    「あの人は今どうしている?」
    「あの人は元気なのか?」
    そういう話だ。
    一応わかる範囲で答えるが、あまり親戚づきあいをしていないので、返答に困ることが多い。
    あと、娘の話をする。
    「ゆいちゃんは元気なの?」
    「もう小学5年生だ」
    一月に一度面会に行っているから「もう小学5年生だ」と毎月言っている。
    そのたびに、
    「もう小学5年生なの」
    と、母は言う。
    「この前、生理がはじまったらしい」
    これは新しいニュースだ。
    「あら。女はそれがあるから大変ね」
    母は、生理について饒舌に話す。
    多い人はものすごく大変なんだ、という話をする。
    ぼくは、なるほど、と聞いている。
    「それは、そうと、嫁さんとはうまくいっているの?」
    母が、心配そうに、言う。
    「離婚した」
    もう何度目か。
    これも毎月言っている。
    「やっぱり。何かおかしいと思った」
    母は、ようやく合点がいったという風に、いう。
    この合点も、毎月なのだが、いつも忘れている。
    人間の後期の記憶はあまり脳内に残らないようだ。
    そのかわり、自分の幼い時の話などは、もの凄く鮮明に覚えている。
    このことはyoutubeに残していて、色々な人が再生してくれている。
    戦艦・金剛ー大東亜戦争(少女の個人的記憶)
    もちろん、母はyoutubeに自分の音声がupされていることも、そもそもyoutubeなるものの存在も知らない。
    「本は売れてるの?」
    「いや、まったく」
    毎月、同じ事を言っている。
    言う度に、少し情けなくなる。
    「売れたら家が建つらしいわよ。作家っていうのは、家を作るっていうから」
    「どうだろう」
    「今度は、どこへ行くの?」
    「今度は、大阪に行く」
    「売れたらいいわね。家が建つくらい」
    ぼくは苦笑するしかない。
    「そろそろ帰るよ」
    部屋を出る。
    ホームのスタッフの詰所に挨拶に行く。
    「帰ります。よろしくお願いします」
    スタッフの人は、カギのかかった玄関を開けてくれる。
    徘徊癖のある入所老人が、勝手に外にでるから、常にカギをかけているのだ、という。



    Posted by 椰子金 on  | 0 comments  0 trackback

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