マイペース・マイワールド

    金持ち喧嘩せず

    小柳日向との会合 その1 ー博多駅ー

    小柳日向に会いに博多へ行った。
    もともと3月15日を締め切りとして『何故?2章 零号』の表紙を受け取る予定だった。
    ついでに現在福岡市美術館で開催中の市美展で、小柳日向の絵が飾られているはずなので、それも観にいこうと話をしていた。
    さらに、最近になって、もう1つ大事な任務が加わった。
    ここ数日、
    「文学フリマに行きたくない」
    と小柳日向が言いだしたのである。
    これはどうにかしないといけない。

    昼すぎに、博多駅西口(旧:筑紫口)で待ち合わせた。
    大きなニット帽に短いマフラーを巻いて、いつものようにリュックを背負っている。
    前回はリュックが布地でチェック柄だったが、今回は黒革だったので、
    「リュック変えたね」
    おれが言うと、即座に小柳日向は
    「いいえ」
    と返答した。
    何やら怒っている風である。
    「何か怒ってるの?」
    思い当たる節はたくさんあるので、怯えた目でおれが聞くと、
    「どうでしょうね」
    とクールに答える。
    ひとまず腹が減った。
    メシを食べながら
    「あれはが悪い」
    と弁解すればいい。
    「今度こそリサーチを頼んでおいたイタリアンの美味しい店に案内してくれ」
    おれが言うと、小柳日向は無言で頷く。
    新設された博多駅シティビルのなかにあるイタリアンに向う。
    「ここです。友だちにリサーチしました。美味しいという噂の店です」
    昼の1時を過ぎていたが、外にまで席待ちの行列が並んでいた。
    「おれ、並んでまで食べる人じゃないんだよ」
    「そうですか。でも、あのね、今時美味しい店って並ぶものですよ」
    小柳日向は呆れ顔で子どもを諭すように言う。
    周りを見渡すと、その手前にピザ屋をみつけた。
    「ピザでいいじゃん、イタリアンには違いない」
    腹が減っているので早歩きで店内に入っていく。
    小柳日向も呆れ顔のまま、店に入ってくる。
    二人なので、当然のように、二人がけの狭いテーブル席に案内された。
    久しぶりに小柳日向と向かい合う。
    もともとの透明感に、目の鋭さがくわわり、どこか洗練された顔つきになっている。
    「表紙、持ってきたかい?」
    店員がメニュ-を持ってくる前に、ひとまず聞く。
    「ええ、でも食事の後に渡します。少々グロテスクな絵なので食欲がなくなるかもしれません」
    若いが顔つきが暗い女性店員がメニューを持ってくる。
    メニューを開くと、ピザだけでなく、パスタもあった。
    「よかった。パスタもあるぞ!」
    おれが喜ぶと、小柳日向はクールにこう言った。
    「わたし昨日パスタ食べたので、今日はパスタって気分じゃないんですよ」
    「え?…そう…」
    昼はパスタにしようと前々から言っており、ついさっき美味しいイタリアンに案内してくれたばかりでありながらの、まさかの一言に度肝を抜かれた。
    前回第一回福岡ポエイチ前日の打ち合わせの際、
    「わたしドトールよりタリーズの方がいいです」
    と言うので、「では」と目の前のドトールを通り過ぎ、歩いて、少し離れたタリーズに入ると、
    「わたし珈琲あまり飲まないので、水でいいです」
    と言ったことを不意に思いだした。

    …不思議な人である。


    つづく。

    Category : 何故?記
    Posted by 椰子金 on  | 0 comments  0 trackback

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