第二回福岡ポエイチに寄せて 小倉風太『阿蘇山』

    阿蘇山

     僕は、疲れている。何に? わからない。峠を越えた猿がまるで果てしなく続く下り坂にため息をつきながら、実は全然、山頂にすら登っていないみたいな、もやもやが、あったり、なかったり、するの、わからんかなあ、みんな、もっとすっきりしているのかしら、などという遠慮がちな気遣いすら、違うともうわかってしまう。みんな同じだ。さまよっている。自分に自信など持てる筈がなく、不確かでいながら日々の真剣さを確かに費やした血を自信にしている人が、そうでない人に優しさを思い出させている。歯車の中の一人一人が、隣人を生かすとは、こんな感じだ。だから僕もすべてを根本では否定する一人だ。ただ、無限の暖かさの宿る刹那だけを、好きでいたい。

    (※追記 僕はこの文章を、作品としては人生で一度だけ、携帯電話で記した。だからこの述懐は僕の唯一の携帯小説(人によれば携帯随筆だとする人もあるかもわからないが、嘘ばっかりを並べる文章と、本物を並べる文章とでは後者を小説と呼べるだろう。小説上の構想以上に僕は今人生の上に生命力を費やすことで限界にいる。)何故? のみなさん、小さなことで、何故? の言葉を放り投げてはいけません。君よりも僕よりも、言葉のほうがヤバいよ。これは怖いよ。ヤバい言葉を雑誌名に提案した僕が一番罪を背負っている。許されない。ざまあみやがれ。ではまたいずれ)

    小倉風太
    2013/6/2
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