マイペース・マイワールド

    心持ち喧嘩せず

    第二回福岡ポエイチに寄せて 小柳日向『人生に、絶望してるんっすよ』

    福岡県福岡市に生まれ育って、わたしは、福岡市から出たことがありません。
    東京でやっている文学フリマなどにも行ったことがありません。
    正直わざわざ行く気にもならなかったし、これからもならないでしょう。

    だって、それに、どんな意味があるのでしょう?

    「福岡で似たような文芸即売会があるから行かないか」と森井さんに誘われたのが一年前でした。
    それが第一回福岡ポエイチでした。
    その時も森井さんの電話越しの熱のこもった話も上の空、それほど何かを期待して出向いたわけでもなく、ただ暇だったから行っただけです。
    何もかもくだらないと思ってすごした(そう思わせてくれた)10代がすぎて、わたしも二十歳になって、だけど、今もあまりその気持ちは変わらないままです。
    料理を作ってそれが美味しいと嬉しいけど、だからって世界は何も変わらないし、もしわたしが良い小説を書いても、だからって世界が変わるわけじゃありません。
    世界は相変わらず絶望の死に体として横たわっています。

    本当も嘘も興味はありません。
    そんなものに興味があるなら、小説なんか書かなかったと思います。
    その茶番劇の先にある何かを見つけたかったのです。

    福岡ポエイチに今年も行くことになったけど、だからって特に森井さんみたいに『文学の復興』とか『文学の何たら』とかは何にもありません。
    そんなことはどうでもいいじゃないですか。
    ていうか、どのみちそんなことは幻想で、ただの空想だと思います。
    それって儚い残像に追いすがる哀しい大人たちの戯言だと思います。
    あの人間が陥る最後の病っていう『希望』にしか生きられないっていう。
    そんな哀しみの具現化みたいにしか感じられません。

    わたしは、本当は、嘘つきです。
    だから、わたしは、嘘つきが大好きです。


    何故かって言うと、嘘つきの人のほとんどがこの世に本当などないと知っているからだし、嘘も本当もどうでもよくて、ただかっこいい言葉で言えば、真実(人間存在の核)にしか興味がないことを知っているからだし、そうしてその真実にしたって、「本当はそんなものないのだけど」と嘯くかれらが好きなだけで、そういう人たちが、福岡を一歩も出ずに向こうから集まってくれるというのだから、もしかしたらそれだけの理由がわたしを(くしゃみを我慢しながら)第一回に続いて第二回も福岡ポエイチなんて(あるいは文芸即売会なんて)絶望的なイベントに赴かせる理由かもしれません。

    最後にわたしをこのイベントに誘ってくれた森井さんについてちょっと書いておきます。
    まず森井さんを男としても人間としてもあまり好きではないけど(よく知らないし、知る気にもならないって意味で)と前置きさせてもらってから言うと、わたしは森井さんの発する言葉が大好きで、森井さんは嘘つきだけど、でも本当は「本当のことだ」と言っている人よりも嘘つきではなくて、何というか、森井さんは、ほとんど本当のことであるのに九分本当でもたった一分が嘘なら許せない人だと思っています。
    言葉を発する時に嘘になる時のその一分に対しても敏感すぎるほど反応して持ち前のデリケートさで自ら自分は嘘つきだと言ってしまう人だと思います。
    だから例えば99%の金と1%が油分の固体を、世間では『純金』と呼んでいるのに、それすらも純金ではないと言っている人が森井聖大だと思います。
    そんな森井さんがその1%の嘘が気に食わず、もうこれで『何故?』を終えるらしいとのことです。
    それもそれで、かれらしいし、わたしにしても、特に媒体にこだわる必要もないので、どうでもいいことです。
    ただこうして最後、わたしが同人誌時代に唯一参加した『福岡ポエイチ』という場で、わたしが唯一参加した同人誌『何故?』に発表した小説の創作集『人生に、絶望してるんっすよ』と、森井さんの長編小説『屍とたましい』と、わたしが表紙を描き小説を載せ森井さんが編集した『何故?第二章 零号ー衝動ー』を販売するとのことで、色々と思うところはあります。
    森井さんと同じように男としても人間としてもあまり好きではない、例えば牟礼鯨さんとかもこういう場でしか会えなかった人だし、福岡ポエイチにはもしかしたら福岡生まれのわたしにとって少し他の人より強い気持ちがあるかもしれません。
    それでも、わたしは「それだって、くだらないけど」と付け加えておきます。
    わたしは、だって『人生に、絶望してるんっすよ』






    Category : 福岡ポエイチ
    Posted by 森井聖大 on  | 0 comments  0 trackback

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