マイペース・マイワールド

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    私の原点『あしながおじさん』-ジーン・ウェブスターへ捧ぐー

    久しぶりに『あしながおじさん』を読みました。
    子どもの頃(といっても高校生の頃ですが)読んで、とても感銘を受けたのを覚えていたからです。
    実は高校生の頃、『あしながおじさん』を夏の読書感想文として書きました。
    はじめはふざけてやろうという気持ちで『あしながおじさん』を選びました。
    予想通り、当時、同級生から
    「あしながおじさんって子どもか」
    というツッコミがありましたが、人生とはわからないものです。
    初めての読書体験というのでしょうか、小説を読み感銘を受けた初めての経験が実は『あしながおじさん』でした。
    『あしながおじさん』のストーリーそのものは完全に忘れていたのですが、その心の高揚感としての読書体験だけはくっきり覚えています。
    私が、それから古今東西小説を濫読し始めるきっかけになったのは、何を隠そう『あしながおじさん』が始まりなのです。

    急に読みたい衝動に駆られ、近所の書店に行き当然あるだろうと探しました。
    しかし、なくて、すぐに近所の古本屋で探したら、一冊だけありました。
    『あしながおじさん』にはもう一冊『続・あしながおじさん』という本があります。
    2冊とも感銘を受けたことを覚えているので、そちらも欲しかったのですが『あしながおじさん』しかなかったので仕方なく、それでも意気揚々として『あしながおじさん』をレジで購入し、早速家に帰り読み始めました。
    久しぶりに親友と再会する、そんな気分でした。
    「細かいエピソードは忘れたけど、確かにその昔ぼくらは親友だったね、元気だった?」
    という、そういう興奮がありました。
    そして反面、「まだ今でもあの時と同じようにぼくらは気が合うのか?」という一抹の不安もあります。
    そういう気持ちで、約20年ぶりくらいに私は『あしながおじさん』を読み始めました。

    本の1ページ目を開くと

    あなたに捧ぐ
    ジーン・ウェブスター


    と書かれていました。
    不意に確信的にこのあなたとは私だと感じました。
    主人公ジューディーは孤児院で不遇な人生を送ってきたが、ただ作文が面白いという理由で『あしながおじさん』に見出され作家を目指すことになった20歳前後の女の子です。
    ですが、これ以上の細かいストーリーは言えません。
    『あしながおじさん』は100年前の1912年発表の小説で、今までに世界中で数億人の人が読んでいるとは思いますが、ネタバレになるから言いません。
    というのも、読んでいる時は『あしながおじさん』が誰かわからないということで話がすすみ最後にわかるのです。
    それも一つの面白みのなかに入っていますし、読み終わってしばらくすると読者はそのストーリーは忘れて、ただジューディーのひたむきで健気で力強くてそういう魅力的な女性ジューディーしか思い出せなくなります。
    この小説の魅力はジューディーの精神性の魅力です。
    読み終えてはっきりわかったというか思い出したというか発見したのですが、私は多分『あしながおじさん』を読んで、『あしながおじさん』に影響されて、あるいは主人公ジューディーが作家を目指すのに影響されて、同じように作家を目指しはじめたのだろうと気づきました。
    当時は作者ジーン・ウェブスターについてそれほど関心を持ちませんでしたが、今回はこのような素晴らしい作品を描き残した作者であるジーン・ウェブスターにひどく興味を持つことになりました。
    作家ジーン・ウェブスターは20歳頃から小説を書き始めましたが、しばらくヒット作に恵まれずにいたところ、35歳の時にこの『あしながおじさん』がベストセラーになり、一躍作家として脚光を浴びました。
    そうして『続・あしながおじさん』を書き、さらに作家として充実し始めた頃、人生においても結婚しこれから実りあるものになるという時でした、39歳で女児を初出産し、分娩後2日後に亡くなりました。
    ジーン・ウェブスターは39歳という短い人生に幕を閉じたのですが、一人の女の子を産み、『あしながおじさん』という名作を世に残し、主人公ジューディーという永遠のヒロインを書き残しました。
    ただ残念なことに、現在『続・あしながおじさん』の方は差別表現があるとのことで発禁扱いになり、新たな新訳が発刊できなくなっています。しかし『続・あしながおじさん』を読んだ記憶では、差別表現よりも『あしながおじさん』と同じように次の主人公サリーの気高い精神性が小説の根幹なのです。
    これは残念で仕方ありません。
    ともかくこういう100年後の現実的な問題もありながら、『あしながおじさん』という小説は、背後のジーン・ウェブスターの人生も読み重ね、とても味わい深く奥深い文学作品になり、100年後の私を夢中にさせてくれました。
    『あしながおじさん』の魅力は、そのまま作者であるジーン・ウェブスターの魅力だと思います。
    その後ジーン・ウェブスターの産み残した女児がどうなったのかは知りませんが、きっと母であるジーン・ウェブスターが書き残した『あしながおじさん』の主人公ジューディーの言葉を母の言葉として読んだことと思います。

    最後になりますが、小学生、中学生、高校生、はたまた主人公ジューディーと同じ大学生の皆さんも、是非、この夏、『あしながおじさん』を読んでみてください。
    きっとジューディーと仲良しになれる、ジューディーと親友になれることと思います。

    これは私の人生で二度目の『あしながおじさん』夏の読書感想文です。

    (100年後の日本から、愛と感謝をこめて)

    あなたに捧ぐ

    森井聖大






    Category : 読書・映画
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