マイペース・マイワールド

    心持ち喧嘩せず

    福岡ポエイチではなく福岡ポエトリーに行ってきた

    少々紛らわしいが、昨日は、福岡ポエイチ、ではなく、福岡ポエトリーに行ってきた。
    福岡ポエイチには二回ほど参加しているのだが、福岡ポエトリーは初参加だ。
    福岡ポエトリーは福岡で月一度(大体第四日曜日)にやっているポエトリーリーディングという詩の会らしい。
    しかしどうにも、詩の会がどういうものか、イメージが湧かない。
    私は、勝手に、詩と狂気は紙一重だと思いこんでいる節があるので、突如叫びだしたり、いきなりぶん殴られたりするような、恐ろしい原始的な場所に違いない、と考えていた。
    というのも、
    「福岡ポエトリーというのはどういう感じなの?」
    と、全日本わかば愛好会かつ福岡ポエトリーのJ島さんに聞くと、
    「色々な人がそれぞれ色々なことをする。わたしは、この前、死にたい、と何十回も連呼した」
    と言うから、なおさらこれはヤバイ系のイベントであろうと確信し、多分想像するに、自作の詩を読みながら、あるいは叫びながら、陶酔し、卒倒したりするのであろう。
    なので私は、会場へ向う途中、何度も自分自身にこう言い聞かせていた。
    「何があっても驚くな。どうせ相手は今時珍しい詩人と称するきち○いどもだ」
    そう念じながら、人が足を踏み入れてはいけないアマゾンの奥地に果敢に踏み込むまるで川口浩探検隊のような不退転の覚悟で、会場まで向かい、天神から早足で歩くこと15分、目的のgigiというカフェバーまでたどり着いた。

    201403231610000.jpg


    エレベーターで3階まであがると、すぐにドアがあったので、地獄の門扉を開ける覚悟で、ドアを開けた。
    16時をすぎていたからか、15~20名ほどいただろうか、小さな会場はもう満席に近く、一人の男性が前方で詩を朗読しているところだった。
    ひとまず後方のソファに座り、1ドリンク制ということらしいので、ビールを注文し、ステージの男性を見た。
    すると、目の錯覚だろうか、奥崎謙三なのだった。
    詩の朗読会というのが初めてでよくわからないが、もしかしたら死者もやってくるイベントなのだろうかと思うほど、よく似ていて、たまらず横のJ島さんに、
    「あれは奥崎謙三じゃないか?なぜ、死んだはずの奥崎さんが?」
    と尋ねると、J島さんは、カレーを食べながら、
    「あの人は、おさだあつとしさんといって悲劇のシンガーソングライターよ」
    と素っ気無く答えた。
    おさだあつとし・・・しかし、どう見ても奥崎謙三にしか見えない私は、頭がおかしくなりそうで、頼んだばかりのビールを一気に飲み干し、これは予想以上のイベントだと気合を入れ直し、二杯目のビールを注文した。
    その後、数人が前に歩み出て、詩に限らず、にしやまひろかずという青年がギターでの弾き語りをしたり、軍服姿のミッド氏が漫談をしたりして、10分間の休憩タイムに突入した。
    このあたりで何となく気づいたのだが、ポエトリーリーディングとはヤバイ系のイベントではなく、とても心落ち着く、都会のオアシスのような、イメージとして、春の陽光射すとても天気の良い日の木陰にどこからともなく色とりどりの小鳥たちが降り立ち心地よい音色で囀っている、そんなイベントなのだった。
    そんな良い意味での、まったり感があった。
    休憩時間になり、もうとにかく今日は飲もうと三杯目のビールを飲んでいる私のところへ、主催者である夏野雨さんが近寄ってきた。
    「せっかくだから、何かマイクの前でやりませんか?」
    「うーん、それでは、新作である『宇宙時代の処世術』の冒頭でも読もうかな」
    飛び入りの私もそこで司会者のseiaさんの元に行きエントリーをした。
    順番は司会者が決めるランダム形式だと言う。
    後半の部がはじまり、いつ自分の名が呼ばれるかもしれないので、私はひどく緊張していた。
    人前で何か話すのは苦手なのである。
    ただ私はイメージとして映画『カポーティ』でのカポーティを思い浮かべていた。
    カポーティは自身の新作完成間近に新作発表会として自作の一節を朗読する。
    「私はカポーティだ!」と私は思った。
    いわばイメトレである。
    それからNYと言えばカクテルだと思いついた私は「そうだ!ひとまずここはジントニックを飲んでおくとしよう!」とジントニックを注文した。
    ジントニックを半分ほど飲んだ頃だろうか、いよいよ私の名が呼ばれた。
    「次はカポーティ聖大さんです」
    そう私には聞こえた。
    私は書きかけの原稿を手に持ち壇上へあがる。
    目の前には笑顔の詩人やミュージシャンたちがいる。
    私は、開口一番、こう言った。
    「全人類に問う!」
    それから歴史的文学的大著『宇宙時代の処世術』の冒頭を読みはじめた。
    しかし、ここから先のことは、あまり記憶にない。
    私は、自身の文章に酔いしれ、陶酔してしまったのだ。
    こんな素晴らしい文章は他にない、と読み上げる喜びに陶酔し、卒倒しそうだった。
    そして読み終わり、会場を見ると、はじまる前のみなの笑顔は消え、ほぼ全員が、き○がいを見るような怯えた目で私を見ていたのだった。
    何たることか、きちが○は私だった、というまさかの大どんでん返しに驚きを隠せなかった私は、慌ててステージを降り、席に座り、ジントニックを一気に飲み干した。
    穴があったら入りたいとはこのことだ、私はカポーティではなかった、ただのき○ちがいの日本人だったのだ。
    もう仕方ないので、また生ビールを注文した。
    その後、また色々な人が、ギター片手に歌ったり、短歌を詠ったり、最後はゲストで東京から来たという守山ダダマ氏が詩を歌ったりして、18時すぎに閉会した。
    その後、歓談タイムとなり、東京に住んでいると言うので、ひとまず守山ダダマ氏に、
    「文学フリマに行きます?」
    と聞くと、
    「ポエケットには行くんですが、文学フリマは行ったことがないです」
    と言った。
    やれやれ。
    それはともかく、しかし何故こうも私はどこに行っても異質なのだろうと自責の念にうなだれ、一人ビールとわかばで余韻に浸っていると、隣にいたミュージシャン男性が、
    「僕も狩猟採集民と農耕民についてちょっと考えてまして。S親和者ってどういう字ですか?」
    と興味をもってくれたのか語りかけてくれた。
    それから20時の閉会まで、ほとんどそのミュージシャン男性と、ネアンデルタール人から現代の小保方氏の話題まで、人類史の闇について話すこととなった。
    最後、晴れ晴れとした気持ちで、おさだあつとし氏とJ島さんとカフェバーgigiを後にした。

    帰宅後。
    自分のことはともかく、とても良いイベントだった、とチューハイを飲みながら、感慨深く思い返していた。
    それから何気におさだあつとし氏が気になり検索してみた。

    狂った磁場からコンニチワ!声、歌詞、メロ、テク、全てがただ事じゃ無い。
    悪い夢でも見ているかのような全10曲。これは本当にヤバいです。


    という紹介でおさだあつとし『悲劇のシンガーソングライター』というCDを販売していた。
    しかし、いくら探しても、どうやったら購入できるのか、全くわからないのだった・・・。


    ああ、やはり。
    福岡ポエトリー恐るべし。




    終。

    Category : 福岡ポエイチ
    Posted by 森井聖大 on  | 0 comments  0 trackback

    Leave a reply






    管理者にだけ表示を許可する

    Trackbacks

    trackbackURL:http://saydie.jp/tb.php/734-b36fc501
    該当の記事は見つかりませんでした。