マイペース・マイワールド

    金持ち喧嘩せず

    森の精霊・にしやまひろかず in 大分サルー祭り 

    2月の第一日曜日。

    夜だった。

    かれは、ギターを背負い、螺旋階段の丘をくだり、大分県屈指の繁華街・都町へとやってきた。

    かれは、偶数月の第1日曜日恒例の大分サルー祭りに初参加し、3曲を歌いきった。
    (ちなみに、サルーとは、スペイン語で「乾杯」という意味らしい。)

    美しいギターの音色、穢れを知らない澄んだ声音。

    かれは一体何者なのだろう。

    何十店舗かある中で、かれが選んだ店は、都町にあるBARフラミンゴだった。

    かれの歌を聴くのは、二度目だったが、一年前、福岡ポエトリーで聴いた時よりも、格段に腕をあげていた。

    少年のままの魂の内奥に、誰よりも激しい炎のような向上心があるのかもしれない。

    たまたま居合わせた可愛らしい女性は聴き入り、あろうことか、かれにむかって「タイプです」と言った。

    その後、風に吹かれてやってきたおじぎ草さんにも頼み込んで歌ってもらった。

    おじぎ草といっても一人の男性ミュージシャンだ。

    寺尾聡のような風貌で、忌野清志郎のような奇声を発し、場を盛り上げてくれた。

    おじぎ草さんと、その後、何故か浅田彰の話をし、逃走論からのスキゾつながりで、私の名著・超S宣言をすすめた。

    宇宙適 超S宣言: 宇宙時代の処世術

    その後、アトホールの○村さんとタ○ーズの元店長とおじぎ草さんはカボチャの馬車で帰った。

    続いて、かれも、ギターを背負い、繁華街をくぐりぬけ、森へと帰っていく。

    小さくなっていく後ろ姿を眺めながら、いつものようにイカれた服を着たフラミンゴのマダムY子が、こう言った。

    「背中のギターが羽根のようね。かれには不思議な魅力があるわ。きっと、このまま、月へ帰るのよ。あるいは、ものすごい遠い過去や未来へ帰るのよ。きっとそうよ!」

    「うーん、まあ、どちらにしても、月へのロケットも、タイムマシーンも、森の中にあるはずだ。かれは、いつも森からやってくる」

    「かれの名は?」

    にしやまひろかず!!」

    しかし、本当のところ、かれは何処へ帰ったのだろう。

    かれの故郷はどこだろう。

    そんなことを考えながら、夜が明けるころ、誰もいなくなった街の中、少年にもシンデレラにもなれず一人取り残された私は、覚えたばかりのスペイン語を一人呟きながら、歩いていく。

    「あっ♪サルー♪」

    「おっ♪サルー♪」

    そうして、いつものように、私の第二の故郷、台湾マッサージ店へと帰っていった。


    つづく。









    (ちなみに第一の故郷は、宇宙です!)


    終わり。

    Category : 大分文学会
    Posted by 椰子金 on  | 0 comments  0 trackback

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