マイペース・マイワールド

    心持ち喧嘩せず

    第四回福岡ポエイチにて~チンピラ俳人・錆助~

    ポエイチ2日目、私のブースに、奇妙な男がやって来た。
    およそ文藝とは程遠い風体の男だ。
    まるで柔道家のようにガタイのよい、ずんぐりむっくりな男だ。
    パッと見、アロハシャツを着た田舎のチンピラだ。
    小さい頃から柔道をしていたこの男は、当然のように柔道に力を入れている高校に推薦で入ったが、怪我をし柔道をやめるはめになり、そのまま高校もやめた、その後、目標を失ったこの男は、スナックの用心棒や借金の取立てなど、腕っ節の強さだけを頼りに、チンピラ稼業をしながら、何とか生きてきたのだ。
    まあ、そういう見た目の男だ。
    男は、にやにやしている。
    「いや~森井さんっすね。お噂はかねがね聞いてますよ」
    この物腰の柔らかさも、どこかチンピラっぽい。
    こちらが男の思惑通りの何かを言えば、すぐに懐に手を入れ、ドスを取り出し、「なんや、われ、おらっ」と凄みだすはずだ。
    確かに入場無料のイベントだが、一体何の因縁をつけに迷い込んできたのか。
    用心しつつ、私は、穏やかに聞き返した。
    「ん?誰から?」
    すると男は、なおもにやにやしながら、こう言った。
    「断靱っす」
    「だんじん?上住か?」
    「ええ、大坂文庫の断靱っすよ」
    ああ、なるほど、そういうことか。
    ポエイチ前に私が書いたブログのことだろう。
    稿料を払えと言ったから、奴はチンピラを寄越し、私を脅し、泣き寝入りさせようという算段なのだろう。
    こんな古典的な脅しで私が屈すると思ったのか。
    なんとも情けない。
    大阪商人が考えそうなことだ。
    「金のことか?」
    私は、いつ、この男が襲ってきてもいいように、立ち上がった。
    「いや~、あんま金ないんっすよね。どうしようかな~」
    上住に金がないことくらい知っている。
    だがあえてあのブログを書いたのだ。
    「どうする気だ?」
    私は、男に問うた。
    すると男は、こう言った。
    「じゃあ、ネオぶんがく宣言ください」
    「ん?」
    「面白いらしいっすね、だんじんから聞きました」
    「そう……ありがと」
    「おれ、錆助っす。自由律俳句やってまっす。雲庵ってブースもだしてまっす」
    チンピラではなく、俳人だったか。
    なんとも紛らわしい奴だ。
    その後、また閉場間際に現れた。
    「金あまったんすよ、エロオナニスト宣言も読むっす」
    「そう、ありがと」
    「ブルーハーツ好きっすか?」
    「まあ中学生の頃はよく聞いてたよ」
    「やっぱそうっすか。森井さんに、この言葉、捧げまっすよ。がんばってくださいね~。んじゃ、また、どこかで~」

    「売れているのが良いもんなら、世界一うまいラーメンはカップヌードルだ」
    ってヒロトが言ってた。

    そう言い残して、にやにやしながら、錆助は去っていった。

    Category : 福岡ポエイチ
    Posted by 森井聖大 on  | 0 comments  0 trackback

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